違いを理解しあいながら対等な関係を結ぶ
4年1組に転校してきた木下始は、転校一日目に教室で小さな透き通った男が飛んでいくのを見る。背中には小さな翼が生えている。翌日、始はその男が、クラスで最低点をとったもののところにやってくることを知る。いつしかその小さな男と話ができるようになった始は、男がこのクラスの成績競争の中で、びりっかすになってしまった子の気持ちが集まって生まれたことを知る。この日から始は彼を「びりっかすの神様」と呼び、びりっかすと会うために、つとめてびりをとるようにした。
ある日、劣等生のみゆきがふとしたことからびりっかすの存在を知る。その日から少しずつ、びりっかすと話せる、びりっかすを通じて、友達とことばを交わさずとも心だけで会話が出きることが、仲間の中に広がり始めた。点数競争に執着のない落ちこぼれっこから次第に、示し合わせてびりをとる作戦が始まった。びりっかす作戦は友達同志の連帯感を育み、じわりじわりとクラスに広がっていった。そして、ついにクラス一の優等生もびりっかすさんを見ることとなる。
そんな折、季節は運動会へと向かう。目玉種目である学級対抗全員リレーに、子どもたちは、びりっかすの神様に結ばれたチームワークをいかんなく発揮する。ところが、運動会の直前、クラスのみんなは、本気でリレーに臨むべきか、わざとびりになるべきか、真剣に話し合う。そしてとうとう、当日、彼らの決断は「本気で走る」!隣のクラスには清田くんという足に障害のある子がいる。「本気で走る」ことは、そんなハンディを抱えながらも懸命に走り、たたかおうとしている競走相手への誠意であること、仲間と連帯して真剣に挑戦することと、自分ひとりで点取り虫になるために競争することとは違うのだと、4年1組の子どもたちは気づくのであった。
(たまちゃん)
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