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「いろんなひととおともだちにならなきゃだめよ」なんて、
 大人にだってむずかしい!

・・・・・ October 10


「いじわるブッチー」
バーバラ・ボットナー ぶん
ペギー・ラスマン  え
ひがしはるみ やく
徳間書店

[内容紹介] ブッチーはいじわるだから、いっしょにあそびたくない。でも、ママは「いろんなひととおともだちにならなきゃだめよ」って言う。そんなとき、ブッチーのママとパパが出かけるあいだ、ブッチーがうちにとまることになった。さぁ、なんとかしてブッチーをやっつける作戦をたてなくっちゃ!

 

 

「いろんなひととおともだちにならなきゃだめよ」なんて、大人にだってむずかしい!

 (コリーナ)

 図書室にいたら、3年生の女の子がそばによってきて、私にこう言った。「なんだか、この本つい読んじゃうんだよね。おもしろいね。」そう言いながらも、すぐに視線は本へともどっていった。本を開いているのは友だちの女の子。その子は、顔もあげずに本の世界にはいっているようだ。二人の女の子は、カーペット敷きの床に座り込んで、ページをめくっていた。この二人がこの絵本を手にとるのは、これで何度めだろう、といえるほどよく見ている。

 この絵本の題名にもなっている[ブッチー]のママとわたしのママは、とてもなかよし。ブッチー親子が家に遊びに来ると、ママは「いっしょにおへやであそんでいらっしゃい」って言う。ブッチーは、ママたちがいるところでは、「はーい」と、とてもいいお返事をする。でも、子ども部屋でふたりっきりになったとたん、ブッチーはきょうりゅうブッチーザウルスになって、とってもいじわるになる。

 大人の前では、とてもいい子で、子どもどうしになるといばりんぼうでいじわるになるブッチー。ママに言っても、「お友だちとは仲良くあそぶのよ」と言うばかり。そのうえ、今度はブッチーがうちにとまりにくることになった。こうなったら、自分で作戦をたてるほかない。私は、新しいあそびを考えた。これならブッチーをやっつけられるだろう。

 とてもたくさんの子どもが、この女の子と同じような思いをしていることが多いようだ。それは、このお話を聞くときの子どもの真剣さから伝わってくる。大人だと笑ってしまうようなところも、とても真剣だ。そのすがたを見ていると、安易に大人が「だれとでもなかよくするのよ。」と言ってしまうことが子どもにとってどんなに無責任な言葉なのか思い知らされる。この絵本のなかで、ママが娘にいうことばは、決して特別な言葉ではない。「だれとでも、なかよくするのよ。」「そのあそびはやめてみたら、って言ったら?」など。

 女の子が、ゆめの中ではブッチーをやっつけるのを楽しんだり、あるいは夢の中までもブッチーにいじめられたりする様子は、友だちとの関係が子どもにとって、どんなに大きな割合を占めるかをあらためて教えてくれる。
 子どもの気持ちにとっても近い絵本だ。

 

Re:『いじわるブッチー』

 (はしの)

「いろんなひととおともだちにならなきゃだめよ」なんて、大人にだってむずかしい!っていうタイトル、いいですねえ。
わかってはいるのだけれど、こういう無責任なことを言ってしまうことってよくある。
言葉はカッコイいいのだけど、実は中身がない。
決してごまかそうなんて思っていないはずなんだけど、
そこらへんに転がっている世間一般で使い古された言葉を使ってしまい、
こどもには何の足しにもならない。
本当はこどもと真正面から向き合っていないよね。
それでも、子どもは、この本の中の女の子が夢で見たように、
いろいろな想像を通じて、現実の世界での生きていく力にかえていく。
すごいね。


図書室に現れた女の子たちも、どんな事情があるのか(ないのか)わからないけれど、
この本を読んで、少しパワーアップできてたらいいね。

 

なにがおもしろいって……

 (ナスダ)

何度見ても笑ってしまうのが、ブッチーがいなくなる夢を見ているシーン。
「ちきゅうのはしっこからうっかりおっこちちゃう」 のを「たすけてあげようとするんだけどておくれなの」と言いながら、その顔がなんとも楽しそう。
この子の夢や想像のシーンが、その脈絡なさもふくめて、とてもいじめられている子どもの心に近い感じ。
この妄想みたいな考えを持てることって、けっこう大事だとおもう。

「あの子といっしょにいないですませるにはどうしよう」と考え、行動するのはたいへんだ。「みんな仲良く」の呪縛もある。
そこを行動に踏み出させてくれるのは「あの子はキライ」「いっしょにいたらもっとひどいことをされる」「あの子がいなければどんなにホッとするだろう」とイメージする力かもしれない。 

 

 

この話題に参加する     


「わたしのワンピース」 
にしまき かやこ
1969年・こぐま社

あこがれを実現してくれるワンピース

 幼稚園で毎月行われる、その月に生まれたこどもたちを祝う誕生会。恒例の「おおきくなったら、なにになりたい?」という質問に、4歳の誕生日を祝ってもらった娘は「おんぷちゃん…」と答えました。それも聞こえるか聞こえないかという小さな声で。ほかのこどもたちには聞こえていないかもしれない。それでも娘にとっては、はずかしそうにうつむきながら、やっとの思いで出した言葉です。

(はしの)

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