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あこがれを実現してくれるワンピース
・・・・・ October 10


『わたしのワンピース』 
にしまき かやこ
1969年・こぐま社

[内容紹介] 空から落ちてきたまっ白なきれで作ったワンピース。うさぎさんがミシンをカタカタならして作ったまっ白なワンピース。うさぎさんがお花畑を歩くと花模様に、雨にぬれると水玉模様にと、次々に模様がかわっていきます。4歳になる娘は、この『わたしのワンピース』という絵本が大好きです。なぜなら、娘にとってこのワンピースは、あこがれを実現してくれる特別なものだからです。

 

あこがれを実現してくれるワンピース(はしの)

 幼稚園で毎月行われる、その月に生まれたこどもたちを祝う誕生会。恒例の「おおきくなったら、なにになりたい?」という質問に、4歳の誕生日を祝ってもらった娘は「おんぷちゃん…」と答えました。それも聞こえるか聞こえないかという小さな声で。ほかのこどもたちには聞こえていないかもしれない。それでも娘にとっては、はずかしそうにうつむきながら、やっとの思いで出した言葉です。

 彼女は4月1日が誕生日の究極の早生まれ。担任の先生の配慮もあって、新学期が始まったばかりの4月ではなく、もうすぐ一年が過ぎようとする3月にお祝いしてもらい、いちばん最後に4歳になりました。だから同級生の中ではダントツに小さいし、工作のつくり方やゲームのルールを先生から説明されても、なかなか理解することができません。それでもお友だちの真似をしたり、ときには助けてもらったりしながら何とかしているらしく、楽しそうに幼稚園生活を送っています。

 と、あたかも自分で見聞きしたように書きましたが、実はすべて妻から聞いた話です。さて、娘がなりたいと願っている『おんぷちゃん』とは何者なのでしょうか。これは父親の私にもわかります。『おんぷちゃん』は、TVアニメのキャラクターです。小学校5年生の魔女見習いなのですがで、歌手、女優の仕事をしている超人気のアイドルでもあります。人気アイドルというと、表面だけ着飾ったかわいいだけの女の子のように聞えるかもしれませんが、『おんぷちゃん』は少し違います。何か問題が起こったときも、冷静に解決方法を考え、仲間にさりげなくアドバイスしたりする、一緒に魔女をめざすなかよし5人組のなかでは、お姉さん的存在です。かわいいだけでなく、頼りになるお姉さんでもある、そんな『おんぷちゃん』に娘は惹かれているようなのです。そういえば、幼稚園でなかよしのお友だちも、娘ができないことを手伝ってくれるお姉さんタイプが多いような気がします。

 だからでしょうか、彼女のおしゃれの基準は、『おんぷちゃん』と幼稚園のお友だち。幼稚園に出かけるときは、どんな髪型にしようか、どの髪飾りをつけようか、どの靴下をはいていこうかと、いつも送迎バスの時間ギリギリまで悩んでいます。『おんぷちゃん』やお友だちと同じ髪型にしたい、同じ洋服を着たい、そうすることで自分もお姉さんになれる、そう思っているようです。

 そんな娘が好きな絵本が『わたしのワンピース』。空から落ちてきたまっ白なきれで、うさぎさんが作ったまっ白なワンピース。お花畑を歩くと花模様に、雨にぬれると水玉模様にと、次々に模様がかわっていきます。『ラララン ロロロン わたしに にあうかしら』と模様がかわるたびによろこぶうさぎさんを見て、娘もとてもうれしそう。模様が次々とかわっていくワンピースは、娘にとって単にかわいい洋服という存在ではなく、好きなものに変身させてくれる憧れのワンピースなのかもしれません。

 4歳になって、「もうお姉ちゃんだから」という言葉が彼女から多く聞かれるようになりました。「もうお姉ちゃんだから、ひとりでトイレに行けるよ」「もうお姉ちゃんだから、ひとりで着替えられるよ」「もうお姉ちゃんだから、ひとりで歯みがきできるよ」。ゆうやけ色にそまったワンピースを着たうさぎさんは、いつのまにかねむってしまいます。星空の中をとび、目がさめたときには、うさぎさんのワンピースは星模様になっています。こんな風に、ひと晩ねむるごとに成長して、早くお姉ちゃんになりたい、という娘の願いがかなうようにと、娘と一緒に『わたしのワンピース』を読んでいます。

 

 (ゆうこ)

お父さんがこどもに本を読んであげるという姿に時代を感じますが、
それをもう ちょっと自分の関心に引きつけて言うと、最近とみに、
人ってもともととても多面的でとらえどころがないというのが、
本質なのではないかと思うのです。
でもそれは人間にとって根元的な不安でもあるので、
何とかまとめたいというところから「アイデンティティ」などという概念が
創られたのではないかという気 がしてしかたがありません。
だから多重人格は出るべくして出たという感じがしますが、
これがまだ病的という観点からしか語られていないのは、
日常の生活より学問の分野の方が、遅れているからでしょう。

うさぎさんが、いろんな模様のワンピースをとても嬉しいと思うのは、
そうした人間の本質をさりげなく表現したのだと思いました。
子育てはともすれば、こどもを現実のある側面だけに適応させようとする
行動になりがちですが、むしろこれからは、どれだけ多様な側面を認めてやるか、
そのことにこどもが不安を感じないようにするかというのが
子育ての課題になるのではないかという気がしま す。

 

 (ひろえ)

「わたしのワンピース」は、わたしも好きな本のひとつです。

本棚をのぞいている時に、この本を見つけると、
ふと、私は今どんな模様のワンピースが似合うかしら・・・・と、想像したりします。

そのときの気分で、色も模様もまったく違うのです。
いつも"素敵"と思えるようなワンピースが、自分の心に着せてあげられるといい
なぁ。。と、思っています。

親子で絵本をひらくことのできる幸せ・・・・
とても素敵な事ですね。
素敵なお姉ちゃんになれますように。。。。

 

 (はるよ)

「わたしのワンピース」この絵本に出会ったのは学生の頃。
絵本に出会うにはちょっぴり遅いかもしれませんが、
とても新鮮に思えたのを覚えています。子どもたちにとっては
それ以上に心に伝わるものがあるでしょうね。

私も、これからどんなワンピースを着ていくのか・・・。
こんなのが着たいな・・・。と期待に胸をふくらませていました。
今となっては忙しさにおわれ、
そんな気持ちも忘れていたような気がします。
これからは、私も、もっともっと素敵なワンピースが着られるように
もう一度、この絵本を読んでみようかな。と思います。

 

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『いじわるブッチー』
バーバラ・ボットナー
ぶん
ペギー・ラスマン  え
ひがしはるみ やく   徳間書店

「いろんなひととおともだちにならなきゃだめよ」なんて、大人にだってむずかしい!

 ブッチーはいじわるだから、いっしょにあそびたくない。でも、ママは「いろんなひととおともだちにならなきゃだめよ」って言う。そんなとき、ブッチーのママとパパが出かけるあいだ、ブッチーがうちにとまることになった。さぁ、なんとかしてブッチーをやっつける作戦をたてなくっちゃ!

(コリーナ)

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