たくさんの「うん、うん。」を聞きたい (はしの)
土曜日に家族そろって出かけた、車で40分くらいのところにある公園は、市が整備している「自然の森」の中にあるので、この時期は、どこを見渡しても生き生きした鮮やかなみどり色でいっぱいです。そのみどり色の中に落ちていく、急で長いローラーすべり台を何度も往復する娘に体力的につきあいきれなくなった私は、ジーパンがすり切れてしまったのではないかと思うほどヒリヒリ熱くなったオシリをかばいながらベンチにすわり、ひと休みしていました。すると、今まで気がつかなかった子どもたちの歓声が、山の斜面に反射して耳に入ってきました。その声を聞きながら、遊んでいるたくさんの子どもたちの姿を見ているうちに、なぜだかわからないけれど、とてもうれしくなってしまい、終いには意味もなく「よしっ、頑張ろう」と思ってしまっているのでした。
私は、子どもの声に励まされることが多いのです。最近、私と娘が気に入っている『おさるはおさる』(いとうひろし・作・絵、1991年講談社)は、娘と二人で一緒に声を出して読んでいるうちに、とっても楽しい気分になってしまう、そんな本です。
おさるの「ぼく」は、強情なカニに耳をはさまれて、自分ひとりだけ「かにみみざる」になってしまうのではないかと不安になるのですが、実は、おじいちゃんは「たこしっぽざる」、おじいちゃんのおじいちゃんは「へびあたまざる」になりそうだったことを、おじいちゃんに教えてもらい安心します。
不安になった「ぼく」が思いうかべる「かにみみざる」や「たこしっぽざる」や「へびあたまざる」のいろいろな姿を絵にすることで、違うって楽しいことなんだ、と自然と伝えてくれるところも良いのですが、やっぱり私が好きなのは、「ぼくと おんなじだね。」「うん、うん。」と、「ぼく」とおじいちゃんとの間で何度もくり返される会話です。私が「ぼくだけじゃ ないんだね。」と読むと、娘は、漫才コンビの相方のように「うん、うん。」と絶妙のタイミングで合の手を入れてくれます。「うん、うん。」が繰り返される毎に、おさるの「ぼく」が安心していくように、娘の声の中に楽しいという気持が増してくるのがわかります。そして、そんな娘の声を聞いている私も、どんどん元気になっていくのです。
進級式の日にはサクラは散ってしまっていましたが、4月1日生まれの娘も、無事5歳の誕生日を迎え、幼稚園の年長さんになりました。娘にとって幼稚園生活最後の1年になるとともに、父親の私にとっても、園児の保護者として最後の1年になります。だから今年は、できるだけ幼稚園の行事に参加してみようと思っています。
走りまわってる子どもたちや、歌ったり踊ったりする子どもたちと一緒に過ごす時間は、自分を元気にしてくれる、とても大切な時間です。たくさんの子どもたちの「うん、うん。」という声を聞いて、もっともっと元気になろうと思い、幼稚園の行事予定を自分の手帳に書き写しています。
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