うその世界を知らない子どもなんてかわいそう (コリーナ)
子どもたちが、顔をあわせて何を読んでるんだろうと思うとこの本である。この本にはK.スギャーマ博士が、冒険に出かけたノーダリニッチ島で出会った動物たちが描かれている。博士の冒険は、空間を超越していく魂の冒険だという。「はじめに」でもふれてあるが「夢とか空想ではなく、もうひとつの現実」として存在しているのだ。
子どもの中には「ほんとに、いるの?」と5年生でもまじめに聞いてくることがある。でも、そんなときには私が答えるより早く「うそにきまってるじゃん。」とほかの子どもが言ってくる。でも、それでこの本を見ないかというとそんなことは決してない。うそは承知の上である。そのうえで、十分楽しんでいる。
うその世界を持たない子どもなんてかわいそうだ。
ここに出てくる動物には、説明書きが添えられている。その文章がまたおもしろい。友だちどうしで、「どの動物がいい?」といっては「いっせいのせ」と指でさして楽しんでいる。
たとえば、「スクリム」。姿かたちは、トイレットペーパーにそっくり。いつも湖など水中にいて、水から出てくることはできるけど、長い時間、水から出たままでいるとかわいて、ちぎれてしまうというのだ。子どもたちは、動物の説明を読んでさらに楽しんでいる。
スクリム
家でお母さんと一緒に読んだという子どももいる。親子で、それぞれが好きな動物を選んではその理由をいいあっていたらしい。もちろん、そのあとにはお互いの選ぶ動物を「へんなのー!」と言い合っていたようだが……。物語好きな子にも、図鑑や
How to ものばかり読む子にも絶対受け入れられる本の一冊だ。
この本には、同シリーズで「植物図鑑」がある。やはり、ノーダニッチ島で見られるふしぎな植物の紹介がある。植物のなかには、前出の「動物図鑑」で紹介されていた動物が住みつく植物もあるようで、その関連もおもしろい。
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