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無着成恭(仏教者)

「なるほど」と納得できて覚えてしまう不思議な本(漢字がたのしくなる本シリーズ推薦文)

私が、子どもたちから「漢字の書き取り」という苦痛をとりのぞいてあげたいと思うようになったのは、私自身が小学校の5年生のころからであった。漢字のテストさえなければ100点なのに、私はいつも漢字で1点ひかれたり、2点ひかれたりして、100点にならなかった。私の「国語の勉強」とは、「漢字の練習」だったといっていい。
子どもたちから漢字を覚える苦痛をとりのぞく方法はないものだろうか。漢字を覚えるのが楽しい──というふうになる方法はないものだろうか。私は教師になってからも、そのことが頭のなかを去来した。
その糸口をみつけたのは、「にっぽんご」という教科体系の創造にとりくみはじめてからである。
私たち明星学園・国語部のグループで、『にっぽんご7 漢字』を世に問うたのが1969年であった。それは、漢字というものを学ぶのにはこれしかないといえるほどのものであった。さて、その体系を教室にもちこんで具体的に子どもにあたえるには、どういう方法がいいか──それが課題であった。
私自身、その方法を実践するまえに教職をのいた。そしていま、そのときいっしょにやっていた宮下久夫先生を中心に、篠崎五六さん、伊東信夫さん、浅川満さんの手で、『漢字がたのしくなる本』という形で世に問われた。
私は、この本を読みながら、ほんとうに楽しくなってしまった。ひとつひとつの漢字が「なるほど」と納得できるのである。マル暗記する必要がない。そして、覚えてしまう。不思議な本だ。
この『漢字がたのしくなる本』を子どもにあたえて、子どもから苦痛をとりのぞいてやろう──なんてケチなことを考えずに、子どもといっしょに、先生も親も、楽しんだらいい。それができる本だ。

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