教育と少年司法を結んだ先にあるもの
子どもへの「寛容」を求めて
教育と少年司法を結んだ先にあるもの
子どもへの「寛容」を求めて
発行日 |
2024年02月発行 |
判型 |
A5判・上製 |
頁数 |
320ページ |
価格 |
本体3800円+税 |
ISBN |
ISBN978-4-8118-0867-3 |
Cコード |
0032 |
子どもの権利条約批准から30年。
だが、教育基本法や少年法の改正を経て、
「寛容なき厳罰主義」が推し進められてきた。
回り道をしながら育つことが困難な時代に、
司法は子どもの権利にどうかかわっていくのか。
教育は多様性の受容と包摂をどう実現していくのか。
多くの憲法訴訟を手がけてきた弁護士による、
子どもの権利救済の現場からの考察。
Ⅰ◾️子どもの人権の課題と子どもの権利条約がめざす救済の地平
1 子どもの権利に関する基本的な考え方
2 子どもの権利条約の意義と構造
──条約実施における「権利基盤型アプローチ(RBA)」とは
3 子どもの権利条約をどう受けとめるか
──憲法・教育基本法の読みなおし
4 裁判例のなかに子どもの権利条約を読む
──永井憲一編著『子どもの人権と裁判』の書評
5 政府報告書の「教育」の分野をどう受けとめるか
6 子どもに対する暴力の絶対的で全面的な禁止の実現に向けて
──国際準則の歩みと一般的意見13号を中心として
7 子どもの意見表明権と表現の自由に関する一考察
──いわゆる「ゲルニカ訴訟」における「意見書」から
Ⅱ◾️子どもの権利救済の具体相と司法の課題
1 司法と子どもの権利・人権研究の課題
2 障害のある子の死亡による損害をめぐる平等と公正について
──東京高裁1994.11.29判決を手がかりにして
3 法令と条約にいう「能力に応じ」とは
──原理的考察の積み重ねによる試論
4 北の国での山崎恵さんと学生たちとの出会い
Ⅲ◾️少年司法の変容とおとな・社会との相剋
1 少年法「改正」前夜の一断面をめぐって
──日弁連定期総会における「緊急報告」から
2 子どもの権利の歴史と“今”──子どもたちの未来のために
──日弁連・第24回「全国付添人経験交流集会」記念講演
〔補遺〕少年司法と教育法との交錯と連携
──第5回「全国付添人経験交流集会」の記録から
3 少年事件報道のあり方をめぐって
──ある新聞社との意見交換会における「発題草稿」を起点に
4 親が受容できない子どもとの共存の途
──「親の子殺し」について考える
5 加害者の心を癒すということ
Ⅳ◾️子どもたちの多様性の受容と包摂をめざして
1 「子どもという存在」の不可思議さ
2 「無国籍児」の救済と子どもの国籍取得の権利
〔コラム〕リースさん夫妻とアンデレ君に出会って
3 外国にルーツをもつ子どもの日本社会への受け入れの緊要性と課題
〔寄稿〕オーストラリアにおける「多文化共生主義政策」がもたらした「言語に関する国家政策」と州における実践(奥野圭子)
4 医療的ケアを要する子どもの就学実現へのサポート
──アメリカ合衆国における「医療的ケア児」に関する裁判例の変遷から学ぶ
5 学校における「子どもの死」(「指導死」と「事故死」)について
6 「寛容」についての問いなおし
──本書を閉じるまえに
中川明(なかがわあきら)
1941 年、新潟県佐渡生まれ。京都大学法学部卒業、同大学院修士課程(法理学専攻)修了(1968 年)
1970 年、弁護士登録(第二東京弁護士会)
1993 年-1995 年、日本弁護士連合会・子どもの権利委員会委員長
1997年-2002 年、北海道大学法学部・同大学院法学研究科教授
2004 年-2012 年、明治学院大学大学院法務職研究科教授
弁護士として「麹町中・内申書裁判」「自衛官合祀拒否訴訟」「日曜日授業参観訴訟」「イジメ自殺『作文』開示訴訟」「ピースリボン裁判」「国籍確認訴訟」等に携わる。