高橋陽一(たかはしよういち)
1963年生まれ。武蔵野美術大学教授、教育史学会、日本教育史学会理事(2019現在)。専攻は日本教育史(国学・宗教教育)。著書に『新しい教育通義』、『美術と福祉とワークショップ』(武蔵野美術大学出版局)、『共通教化と教育勅語』(東京大学出版会)など。共著に『道徳科教育講義』(武蔵野美術大学出版局)、『戦時下学問の統制と動員』(東京大学出版会)、『教育勅語の何が問題か』(教育史学会編、岩波ブックレット)、『徹底検証 教育勅語と日本社会』(岩波書店)など。
発行日 | 2019年02月発行 |
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判型 | 四六判・並製 |
頁数 | 272ページ |
価格 | 本体2000円+税 |
ISBN | ISBN978-4-8118-0832-1 |
Cコード | C0036 |
近代日本に強烈な求心力と滅びへの道をもたらした教育勅語。
1890年のエリートたちがつくりだした「名文」には、何が書かれているのか。315字の一字一句の意味と文章の構造をあきらかにし、その来歴と遺産までを語り尽くす。ありそうでなかった、上げも下げもしない教育勅語入門。
くわしすぎる教育勅語 もくじ
第一部 [精読] 一字一句をつまびらかに
第一文 朕惟フニ、我カ皇祖────「朕」と「我」はどう違う?
第二文 我カ臣民、克ク忠ニ────つくられた伝統が「教育の淵源」に
第三文 爾臣民、父母ニ孝ニ────徳目はすべて「皇運」のために
第四文 是ノ如キハ、独リ朕カ───「忠」と「孝」をまとめあげる
第五文 斯ノ道ハ、実ニ我カ────全世界が戴く勅語の真理
第六文 朕爾臣民ト倶ニ──────朕の希望をすすんで体せよ
第二部 [始末] 来しかたとゆく末
第1節 起草者それぞれの思惑
第2節 徳目はどこから来たか
第3節 「君主の著作」の法的地位
第4節 モノとしての教育勅語──原本と謄本
第5節 物神となった謄本と「御真影」──学校儀式と不敬事件
第6節 教育勅語と学問の自由
第7節 揺れる教育勅語解釈
第8節 失効後に残ったもの
第三部 [考究] これまでにわかっていること
文献案内
資料(抄録)
学制布告書/軍人勅諭/帝国憲法告文・憲法勅語・公布文/徳教ニ関スル勅諭ノ議ほか/明治二三年文部省訓令第八号/小学校祝日大祭日儀式規定/戊申詔書/国民精神作興ニ関スル詔書/青少年学徒ニ賜ハリタル勅語/聖訓ノ述義ニ関スル協議会報告/勅語及詔書の取扱について/日本国憲法/教育基本法(1947)/教育勅語等排除に関する決議/教育勅語等の失効確認に関する決議/教育勅語等の取扱について/期待される人間像(草案)/教育基本法(2006)/特別の教科 道徳──中学校指導要領/教育勅語の根本理念に関する質問書・答弁書