学校事務ができることは、こんなにある!
学校事務の可能性を広げる著者が、これからの公教育における事務職員のカタチを描き出す。
☆教材選定のしくみづくりで教員をサポート
☆公費の出せる範囲を明確化し、保護者負担金を軽減
☆就学援助制度を「事務室だより」で周知、家庭と行政の窓口に
☆リクエスト箱設置で子どもの「ほしい」に応える
事務職員が知りたいノウハウと、校長・管理職が知りたい学校事務の活かし方を語りつくします。
第1章 あらためまして、「事務職員」です——導入的な自己紹介
1—事務職員って、こういう者です
最初に出会って最初に忘れられる存在/事務職員の配置は法律で決まっているん……です?/事務職員の仕事=学校事務ではありません
2—意外に広い人間関係
謎多き「事務室の先生」/子どもを評価しないおとな/節目の時期に増える保護者とのかかわり/地域住民と学校の窓口として
3—めざせ! 学校事務職員
「結局、なんの仕事なの?」/県の採用だけど、市の職員/「だれも教えてくれない!」単数配置職種の宿命/事務職員はめざすべき職種じゃないのか?!
コラム:事務職員の一日
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第2章 教育費を担う仕事——学校財務担当者として
1—公費と私費
公費の使われ方——予算から決算まで/なんで公教育に「私費」があるの?
2—学校運営費を結合する
分離されている公費と私費/ついつい使い勝手のいい私費に流れがち/お金の流れの交通整理から保護者負担金の軽減へ
3—教材・教具と授業にまつわるお金
「算数セットは個人持ち」を考えなおす/事務職員は授業も学べ/解剖にいいイカは冷凍? 生?/だんぜん安い版画板に落とし穴が
4—学校徴収金=私費=保護者負担金のさまざま
学校徴収金とは何か/学校給食費負担の法的根拠/教材は受益者負担?/校外学習や修学旅行は大きな負担/中学から私費になりがちな生徒会費・部活動費/PTA会費・後援会費の「例年どおり」を見直す
5—学校財務の評価
見えなければ評価できない/学校財務を学びあう/「あの教材、有用だった?」効果検証シートの活用/財務評価を積み上げて公費増額へ——事務職員にできること
コラム:卒業するのにお金がいるの?——卒業対策費とは
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第3章 変化し、広がる学校事務——学習環境を保障する
1—情報を発信する
保護者へ、子どもたちへ、教職員へ/「事務室だより」で情報を整理・伝達/アピールのチャンスは逃さない——壁新聞やWebサイトも
2—情報を安全に管理する
増殖する情報管理の仕事/先手を打って情報公開を/学校は個人情報のかたまり/セキュリティ事故防止策の利点と難点
3—危険な化学物質から学校環境を守る
シックスクールは労働問題でもある/「たかが油性ペン」を変えることから/物品購入を担う事務職員の重責
4—子どもの声を学校改善に生かす
生徒会の予算計画も学習に/生徒たちによる改善提案/アンケートは応答がいのち
5—子どもの就学を保障する
日本で増えている子どもの貧困/制度を知る・伝える——就学援助と生活保護/援助が必要な人に伝わっていない/ニーズを察知してアウトリーチする/バッシングはこわくない——知識は認識を変える/奨学金制度周知で卒業する子たちをバックアップ
6—教職員の労働環境を考える
教職員も労働基準法で守られている/分業・協働で負担軽減するために/「おとなアンケート」で安全・快適な職場に/あるのに使われていない休暇制度は周知がポイント
7—校内外の協力を集める結節点になる
教員は電話に出られない——渉外業務は事務職・管理職で/学校と外部機関をつなぐ/子ども目線の学校改善に「ウォント・リペアカード」/安全点検と施設管理にユニバーサル・デザインの観点を
コラム:増える学校給食費の未納——どう解決していくべきか
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第4章 これからの公教育を考える——子どもの権利を実現する学校事務へ
1—教育無償化の経緯と展望
義務教育費無償の原則に逆行する学校徴収金/現行法で無償とされている範囲は/「義務教育は、これを無償とする」の範囲は——学説・裁判・行政の変遷/学校経費の負担はどこが——主体と範囲の移り変わり/明治からあった教育費無償化運動/全面無償化案を幻にした、占領政策との齟齬/世界がめざす、高等教育をふくむ無償化/日本国内で進む無償化推進の取り組み/義務教育無償を達成した長崎県・香焼町(1977年)/提言1・無償化に向けた財政措置のロードマップ/提言2・現行制度でも無償化は実現できる/自治体条例の前提となる市民のコンセンサス/ひとしく教育を受ける権利を「相対的無償相当」で実現しては
2—子どもの権利とおとなの使命
なかなかややこしい「子ども」の定義/民法が定める子どもへの制限/おとなの義務はどうやって定められているか/「子どもの権利条約」は世界共通の憲法/日本国内での子どもの権利/条約が要請する社会的インクルージョン/おとな社会は「虐待」といかに向きあうか/児童労働撤廃と学校のサッカーボール/身近なおとなとしての使命