グラムシとフレイレ
対抗ヘゲモニー文化の形成と成人教育
グラムシとフレイレ
対抗ヘゲモニー文化の形成と成人教育
発行日 |
2014年06月発行 |
判型 |
四六判・上製 |
頁数 |
352ページ |
価格 |
本体4500円+税 |
ISBN |
ISBN978-4-8118-0766-9 |
Cコード |
C0030 |
世界各地の社会運動のなかで、もっとも熱く語り交わされている
二人の思想家の行為と言説を横断的に分析し、かつ批判的に相対化しつつ、
グローバル資本主義の下で社会の変革を追求する成人教育の今日的な課題と可能性に光をあてる。
世界6言語に翻訳されたアントニオ・グラムシとパウロ・フレイレの比較研究に基づく
成人教育思想の書が里見実の手により、待望の邦訳。
■第1章 序論
ヘゲモニー装置としての成人教育
アントニオ・グラムシ
パウロ・フレイレ
成人教育分野におけるグラムシとフレイレの既存文献
変革を志向する成人教育
■第2章 アントニオ・グラムシ 革命戦略と成人教育
張りあう諸力の抗争の場──ヘゲモニーと教育
行為者
実践の場、社会的関係性、教育内容
■第3章 パウロ・フレイレ 批判教育学と成人教育
政治的教育学
行為者──神学とマルキシズム
デモクラティックな教育
変革の行為者
実践の場と、教育の内容
■第4章 グラムシとフレイレ 共鳴と相違
時代と人生
パラレルな面
相違面
総合に向けて
■第5章 グラムシとフレイレ 今日の問題には応えていない諸側面
グラムシ──階級と、その他の社会的差異
フレイレと、異質なものへの社会的差別
陣地戦──対立と協調
情報テクノロジー
■第6章 グラムシとフレイレ 補いあう両者の総合
コミットメント
行為者
社会運動
成人教育に携わる教育者たち
文化生産
歴史
■第7章 結論 どんな時代のなかで、それは息づくのか?
──変革志向型成人教育とその社会的コンテクスト
社会変革──限定性と可能性
前・革命的なコンテクスト
文化革命
結びに代えて
訳者あとがき
注
参考文献
さくいん
1955年、地中海の小さな島マルタ共和国に生まれる。マルタ大学、ロンドン大学で教育学を学ぶ。教員として学校教育と成人教育に従事、その現場経験とカナダ諸大学での研究生活をふまえて書かれた学位論文が本書の原型になっている。現在は故郷のマルタ大学で教育社会学と成人教育を講じながら、NGO、学会誌編集などを通じて国際的な活動を展開している。本書以後、以下のグラムシ、フレイレにかんする著作がある。
“Liberating Praxis: Paulo Freire's Legacy for Radical Education and Politics”
“Echoes from Freire for a Critically Engaged Pedagogy”
“Hegemony and Education Under Neoliberalism: Insights from Gramsci”
里見実(さとみみのる)
1936年生まれ。1965年から2007年まで國學院大學に勤務したのち、現在は現代教育思想や中南米演劇などの研究と翻訳に取り組む。
おもな著書に『パウロ・フレイレ「被抑圧者の教育学」を読む』、『働くことと学ぶこと』、『学ぶことを学ぶ』、『学校でこそできることとは、なんだろうか』、『学校を「非学校化」する』(以上、小社刊)、『ラテンアメリカの新しい伝統』(晶文社)、『タイにおける地域再生運動に学ぶ』(農文協)など多数。
おもな訳書に、パウロ・フレイレ『希望の教育学』、ピーター・メイヨー『グラムシとフレイレ』(以上、小社刊)、ベル・フックス『とびこえよ、その囲いを』(監訳、新水社)、アウグスト・ボアール『被抑圧者の演劇』(晶文社)などが、共訳書にパウロ・フレイレ『伝達か対話か』、モアシル・ガドッチ『パウロ・フレイレを読む』(以上、亜紀書房)などがある。