車育子(ちゃゆっちゃ)
4歳になる孫から「ハンメちゃん」と呼ばれ、悦んでいる。 ハンメとは、韓国の南の地方の方言。 いわゆる「標準語」では、ハルモニ(祖母)。 私が幼い頃、祖母をハンメと呼んでいた。 懐かしく、あたたかい響き。 手放すことはできなかった。 今後の老年期を謳歌すべく奮闘中の「道端のたんぽぽおばさん」。 たんぽぽの種のように、私の想い、自由にどこまでも飛んでいけ。 1953年、東京都生まれ。
発行日 | 2007年08月発行 |
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判型 | 四六判・並製 |
頁数 | 192ページ |
価格 | 本体 1800円+税 |
ISBN | ISBN978-4-8118-0724-9 |
Cコード | C0036 |
雨宮処凛さん(作家)評
名前が変わるとは、いったいどういうことだろう。人から様々な名前で呼ばれるというのは、どんな気持ちだろう。逆にそのことは、自分自身の「核」を強く意識させることになるのではないだろうか。
彼女の名前は何度も変わる。本名、本名だけど読みが「日本式」、通名。しかしだからこそ、彼女は揺るぎない「自分」と対峙しているように見えるのだ。けっして肩ひじを張らない軽やかさで。
「在日」として生きる一人の女性の幼い頃の記憶、家族、仕事、恋、結婚、子育て、そして自分との、歴史との真摯な対話。日常から綴られる、私たちのすぐ傍にある物語。
■小石川の家
ハンメ 食事の作法 ファンタジア アボジのウリマル ねみちゃん 帰還船
二人のハラボジ 風邪 チュサ ドブロク ハンメの買い物
■坂の上の学校
理科室と図書室 私の夢 セツラー 教会 アッポ 私の叔母 隣の姉さん
満さん 高校のバスケット部 国籍条項
■セブンティーズ
私の就職事情 旅券 再入国許可書 母語 成人式 処女 結婚狂想曲
カワジエンピツ君 真面目君 披露宴
■あらたな家族
年賀状 誕生日 過去帳 生協活動 子育て百科 再就職 読書
■蘇生した名
指紋押捺拒否 私の朝鮮語 梶村秀樹 国籍 投票所入場券 叔父の葬式 韓国旅行
■ハンメちゃん
夫の地域デビュー 生涯学習 息子の卒業式 パラム(風)の会
色・いろいろ水彩画 スジとニンニク キムチ ハンメちゃん ミックス
高校野球の正しい応援の仕方 ハンメちゃん家とユーくん家 イルム(名前)を旅して