大沢敏郎(おおさわとしろう)
1945年、岐阜県に生まれる。1980年より、日本の三大簡易宿泊所(ドヤ)街のひとつといわれている横浜・寿町で、十分な学校教育をうけることのできなかった人たちとの識字実践活動をはじめる。文字の読み書きができるかできないかということにかかわらず、人間が生きることの深い学びとして、四半世紀にわたりつづけられた。2007年没。
発行日 | 2003年10月発行 |
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判型 | 四六判・並製 |
頁数 | 224ページ |
価格 | 本体 1800円+税 |
ISBN | ISBN978-4-8118-0711-9 |
Cコード | C0036 |
日本の三大ドヤ街の一つ、横浜寿町。教育の機会を奪われ、読み書きができないために地を這うように生きてきた人々がいる。この街で識字学校を主宰する著者と、文字を学ぼうとする人々との交流、彼らが書いた珠玉の言葉。
二枚の写真――まえがきにかえて
1章 呼びもどす、ことば
心ふかく人間のこととして
一歩をきざむ人びと
2章 突きやぶる、ことば
たすかったからよ
識字のあゆむ道すじ
3章 見つめかえす、ことば
オモニたちの「声」
うるおいの一滴――李明徳さんのこと
4章 生きなおす、ことば
ことばの原風景
はじまりの地に佇つために――若い学び人へ
精神の荒れ野から――あとがきにかえて
団体職員・20代・女性
小さい頃、村の中で字が書けない人はいたが、識字教室などはなかった。部落解放運動に関わるようになり、識字というものを知った。識字というものに出会い、知っていくにつれ、昔の記憶がいくつか思い出した。ケンカの強い同級生の一人はたまにしか学校に来なかった。中学の頃には土方の仕事をしていた。たまにしか学校に来ないから、テストでもいい点を取れないと思っていたが、彼は字が読めなかったのでは……と今になって気づいた。あの時気づけなかったのが悔しい。私にとっていいシゲキになった本でした。