横川和夫(よこかわかずお)
1937年生まれ。ジャーナリスト。元共同通信編集論説委員。 教育や子ども・若者・家族問題を中心に、日本社会の矛盾が表出する現場を一貫して追いつづけてきた。1993年、日本新聞協会賞受賞。 浦河べてるの家を描いた『降りていく生き方』をはじめ、『不思議なアトムの子育て』(以上、小社刊)、『もうひとつの道』『心を癒す場』『大切な忘れもの』『仮面の家』『かげろうの家』『荒廃のカルテ』『熱い鼓動』(以上、共同通信社)など著書多数。
発行日 | 2003年03月発行 |
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判型 | 四六判・上製 |
頁数 | 232ページ |
価格 | 本体 2000円+税 |
ISBN | ISBN978-4-8118-0669-3 |
Cコード | C0036 |
しあわせは私の真下にある。引きこもりも病気も不安も、逆転の発想で糧にする「べてるの家」の人々。問題山積の当事者と家族、医師、支援者の軌跡を深く取材した書き下ろしノンフィクション。“豊かな回復”への道筋。
I 章 それは社会復帰ではない
「非」援助の思想
混沌と葛藤のなかのはじまり
キヨシどんと向谷地さん
商売の苦労、買います
降りていく生き方
II 章 この生きづらさを語る
暴力から言葉へ
引きこもり、破壊、後悔の連鎖
変化の兆し
経験を語るということ
III 章 愛の暴風雨をくぐりぬけろ
依存と愛情と自立と
壮絶バトルの恋愛生活
自己否定感との闘い
和解への準備
IV 章 しあわせは私の真下にある
「治る」よりも豊かな回復
ゴージャスな入院への処方せん
友だちが増える病気
治療とは、回復とは
笑いといっしょに苦労を連れて
70代・女性
とても感動しました。精神の病をもつ人々と長い間いろいろな場で共に過してきましたが、いつも、これでいいのだろうかと自分を問いなおしていました。べてるの家について知りたいと、べてるに関した本等を読んでいましたが、本書で初めて、べてるの人々の回復のプロセスや川村Dr.、向谷地swの人生観等がよくわかり、深く受け取ることができました。又、「にもかかわらず笑う」というユーモアが溢れる面白さにこちらまで肩がほぐれる思いです。「降りていく生き方」は、古希を迎えた私にとっても大事な生き方です。
女性
「べてるの家」の取り組みを、大変詳細に、深く、一人一人に密着して取材しているので読みながら強くひきこまれ、全体像もわかりやすかった。現代日本の非人間的なゆがみやひずみへの根底的な問い直し作業を行っているのがべてるの家だという著者のあとがきに深くうなずいた。