内容紹介
ダウン症の兄・ヒロには、少し変わった癖やこだわりが数えきれないほどある。
返事があるまで「おはよ」を連呼。
シーツはいやで真夏でも毛布。
体をゆらゆらさせるのが好き。
病院と鏡が大きらい。
Tシャツの裾はパンツにイン。
お迎えの車へはいつもダッシュ。
おやすみのまえはハイタッチ。
私はヒロのそんな癖やこだわりがとても人間的でおもしろいと思った。
そこにはヒロの世界がつまっていて、ヒロの「秩序」があるのではないだろうか──。
ヒロの一日を、美大生の妹が3歩の距離からゆるーく見つめ、
個性的でも、凡庸でもない、ヒロの世界をかたちづくる「秩序」を活写するフルカラー・イラストエッセイ。
巻末にはダウン症の娘をもつ環境哲学者・最首悟が解説を特別寄稿。
- パサッ
目次
【あさ】
起床
ソファでまったり
ひとり笑い
着替え
着替え完了
トイレ問題
朝食
へんな音
かたづけ
食後の一杯
気前のよさは人一倍
洗濯物
ゴミ出し
遊ばれる
こわいもの
ひげそり
出発
[コラム]ヒロの主張
【ひる】
学園へ到着
時間の感覚
作業
昼食の準備
昼食
グルメ
歯磨き
スキンシップ
見て見てアピール
水くみ
散歩
帰りの会
[番外編]かこ
【よる】
帰宅
帰りの車中
あ・うんの呼吸
ゆらゆら
お風呂
えみちゃん
お母さんは「絶対」
手をつなぐ
寝床へ
布団
【特別寄稿】最首悟
読者の声
障害者自立支援施設勤務・48歳・女性(神奈川)
『ヒロのちつじょ』(12)
あさ・ひる・かこ・よると分かれていて、読みやすかったです。 大変なことも明るくのりこえていくご家族の強さに感動です。
ガイドヘルパー・58歳・女性(大阪)
『ヒロのちつじょ』(11)
優しい気持ちになりました。 ほぼ15年、障害をもつ方々とかかわる仕事を細々と続けています。いま現在はダウン症の方に直接接することはありませんが……。この仕事を続けてこれたのはご本人たちの純粋さと、ご家族の(とくにお母さまの)あっけらかんに近い強さと明るさ。私も3人の子の母として子育ての大変さを考えると、その母性の強さに自分が力をいただきながらの15年です。本を読みながら、ほっこり、そうーだー、最後の最首さんの文にも泣けました。
67歳・男性(島根)
『ヒロのちつじょ』(10)
「よく書いて(描いて)くれたなァ」 ダウン症の子とその親(主として母親。親父たちはあまり参加したがらなかった)、そしてとりまく人びと(保育士、保健師、教員、そして私のようなこれといってつながりはないけれど縁あってつながった地域の住民)、そんな構成の会の事務局をしていた時期がありました。いまでも当時の子どもだった、そしていまはオッサンやオバサンになった彼(女)らに出会うと、ちゃんと憶えていてくれて、親しく名前を呼んでくれます。だから、そうそう、あ、彼と同じだ、などと思いながら、淡々と書かれたかに見える文や、シンプルでいて確かな絵をこちらもフツーに読んでいました。 しかし、なによりよかったのは、ダウン症の「障害者」の妹がこの本を世に出したということ。兄弟姉妹たちがどんな思いでその家族たちを見て、感じているか。そこをこのように表されたことに(こんなに軽く書いているのに)重い意味があると感じます。私の姪も上が高次脳機能障害。その妹もこんな思いであったろうといろいろ想像してしまいました。