■おもな目次
1 東大生、この空洞のエリートたち おそろしく素直だった東大生/講議を要約しただけのレポート/東大でもついて 回る偏差値/評価されることに怯えつづけて/学校とは失敗してもいいところ 2 学校に侵食される社会 近代の制度としての学校/「頭の競争」は機会均等で公平か/敗者に現実をどう 納得させるか/優等生のがわにある不安/学校的価値におおわれた社会 3 少女・母・OLたちの学校トラウマ 学力を売るか、女を売るか/エリート女性がエリート男を求める理由/売春によ る女性性の奪還……「東電OL」/失敗を許されない子育て……「音羽の母」 4 学校は授業で勝負せよ ムダ金になりつづける教育投資/オリジナリティとは「異見」のこと/消費財として の学位/教師は「わかる」快感を提供できるか/知育限定の「小さな学校」でたくさんだ 5 授業で生存戦略、教えます 「小さな問題」から取り組んでみる/一次データから情報を絞りあげる/インタビュー で関係の結び方を学ぶ/動くことで偏差値コンプレックスを乗り越える 6 上野千鶴子の楽屋裏 私は僧院生活者/それは「主婦って、なに」から始まった/女は英語習得にとても ラッキー/外国経験が生みだす「難民」感覚 7 ポストモダンの生き方探し 未来のために今をガマンする近代/会社と貸し借りナシの関係……フリーター 「二流エリート」としてのオウムの若者/持ち寄り家計という生き方
■著者紹介
上野千鶴子(うえの・ちづこ) 1948年生まれ。社会学者。京都大学大学院博士課程終了。平安女学院短大、京都精華大学などをへて、現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。 著者が「記念すべき処女喪失作品」と呼ぶ『セクシィ・ギャルの大研究』(82年)以来、フェミニズムの立場からメジャー論壇で話題を提供しつづけるかたわら、『女性学年報』を編集して日本の女性学を手弁当で育てあげた一人。在野の女性の集まりにも精力的に駆けつける。男社会とはげしく斬りむすぶその力の源泉を鶴見俊輔は、「自己をくり返しとらえなおすスタイル、かなり長い期間にわたって同時代の変動を見わたす力、男によりかからず老若の女たちを結ぶ大小さまざまのネットワーキングへの参加の3者の組み合わせ」と指摘する。 ■本書は、著者はじめての教育・若者論をテーマとした作品。近著に『差異の政治学』(岩波書店)、『上野千鶴子が文学を社会学する』(朝日新聞社)、『ナショナリズムとジェンダー』(青土社)、『発情装置』(筑摩書房)がある。
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こんな不況でよかったね。親や先生は、あいかわらず 「将来のためにがんばりなさい」と言うでしょうが、 そんな生き方は、みんなカラ手形になりました。 ---本文より
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