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3月3日発売
■定価=2,000円+税
■四六判・上製
  232ページ
■ISBN4-8118-0669-7
横川和夫=著
降りていく生き方
「べてるの家」が歩む、もうひとつの道
 定価=2,000円+税

しあわせは私の真下にある。引きこもりも病気も不安も、逆転の発想で糧にする「べてるの家」の人々。問題山積の当事者と家族、医師、支援者の軌跡を深く取材した書き下しノンフィクション。“豊かな回復”への道筋。
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上野千鶴子さん推薦!

また一冊、べてる本が出た。べてるの家について語るのは、おそろしい。語るひとが試されるからである。横川さんは、うまい手を考えついた。病は人間の貌をしている。だから当事者に語ってもらおう……それができるのは、横川さんが卓越した聞き手だからだ。

 わたしたちは、この本の登場人物である早坂さんや、河崎くんや、賀代さんと、昔からの友だちのような気分になってしまう。この人たちは、病気に自分の個性を刻みこんだ。病気はこの人たちにとってかけがえのないものになった。そして、病気とは、「人生」の代名詞でなくてなんだろう。

 

宮沢造酒蔵さん評
(NPO法人「札幌市精神障害者家族連合会」会報『かっこう』第31号から)

「べてるの家」には、白石むつみ会の一泊旅行で平成12年9月に見学に行っていますし、その前にも札家連の行事で川村敏明・向谷地生良両先生のお話も聞いていたので、ある程度のことは分かったつもりでいましたが、最近発刊の元共同通信の記者、横川和夫氏の著書『降りていく生き方』を読んで、私の理解がいかに薄っぺらなうわべだけのものだったかを痛感しました。と同時に、私たち夫婦の、発病11年目の息子に対する姿勢も根本的に改めなければならないと考えるようになりました。
 今年の4月からは向谷地生良先生が北海道医療大学の助教授にもなられると新聞に載っていましたが、昨年1年間だけで「べてるの家」に関する本は3冊も出ていて、また、今年の5月17日に開催された総会には全国から350人もの人が浦河に集まったそうです。それだけ「べてるの家」の取り組みが広く注目されているのです。

 さて、この本の特色は、親子の葛藤から自宅を全焼させて措置入院となり、退院後も暴力を振るっては親を困らせていた23歳の青年と、別の、壮絶な喧嘩を繰り返す若いカップルとの3人に焦点を当てながら、「べてるの家」の活動を軌道に乗せた浦河日赤病院精神科医師川村敏明先生とソーシャルワーカーの向谷地生良先生のお二人が、この3人とどうかかわり合いながら回復させていくかのプロセスを示していることです。
「治さない、治せない医者」を自認する川村先生のユニークな点は、札幌の旭山病院時代に、アルコール依存症の人たちとかかわる中で獲得された「当事者性の尊重」にあるようです。
「アルコール依存症の場合は、まわりが一生懸命やればやるほど、本人は問題に気づかないようになっていく。責任や問題の後始末をだれかに委ねるというアルコール依存症特有のパターンがあって、浦河では、そのアルコール依存症の治療で大切にしてきたことを精神病治療の世界にもちこんだら、きちんと答えが出てきたんです」と川村先生は語られます。
 不思議なことにソーシャルワーカーの向谷地先生も、大学を卒業後浦河にやってきて、最初に苦労したのは重度のアルコール依存症に陥ったアイヌの人たちとのかかわり合いだったのです。そして、統合失調症の人たちと出会って、いかに当事者性が奪われているかに愕然とされるのです。
「ぼくが浦河に来て、精神障害をもった人たちに出会って最初に感じたことは、この人たちは病気によってしあわせを奪われているのではなく、本来的に人間に与えられているはずの苦労を奪われているということでした。病院を退院してきた回復者のメンバーたちに、『商売をやってみないか』と提案したのは、奪われた苦労をいっしょにわかちあってみたかった、メンバーたちが見失ったり、忘れかけたりしていた苦労の味をもう一度とり戻し、それを共有したかったからなんです」と向谷地先生。

「べてるの家」では、メンバーが発作を起こしてガラスを割ったり、ドアを壊しても、後始末は本人にやらせ、その修理費も月賦で本人の負担です。
 私たちとは言いませんが、少なくとも私が本人のためと思ってやってきたことの中には当事者性を軽視した部分があり、それが回復を遅らせていたのではないかと、今この本を読んで考えさせられました。読み始めたら、時間を忘れて一気に読ませる本です。ご一読をお薦めいたします。

 

月刊ブリコラージュ(03. 4月号)

べてるの家に関する既刊と比較して特徴的なのは、べてるの家に深く関わるソーシャルワーカーの向谷地さんと、精神科医・川村敏明さんの人生に深く食い込んで書かれている章があることだ。本書を読んで、ああ、向谷地さんも川村さんも特に立派な人柄というわけではなかったんだ……と、うれしくなった(ヘンな言い方だけど)。それは、本書に登場するキヨシどんも河崎さんも賀代さんも下野さんも川口さんも里香さんもそう。登場する人、一人ひとりの人生をしみじみ感じ、「降りていく」という言葉の意味を考えた一冊だった。

 

汐見稔幸さん

本書を読んで、あらためて「べてる」の実践の意味と問題提起性の深さを感じることができた。(本書にある当事者たちのことばを並べるだけで)名言集的な重みが感じられるだろう。べてるの実践は、幻聴に悩む人びとに、その幻聴をなくすのでなく、上手につきあうことを大事にしてきたのだということもよくわかるだろう。そして、上手につきあえるようになるには、たくさんの仲間、とくに自己に正直な、温かい仲間が必要だということも。
本書は、人間についてさまざまな発見をさせてくれる本であることは間違いない。

……『あけぼの』03. 5月号

 

カトリック新聞(03. 4月13日号)

本書はただのサクセス・ストーリーではない。読むものに深い感動を与える輝きは、病気が治れば楽になれると信じ必死に闘っていたのが、ありのままの自分でいいと肯定できたとき、幸せがはるか彼方ではなく、自分の真下にあったという悟りに感じられる。それは競争、向上とどこへ行っても追いたてられ、落伍者になることの恐怖で走りつづける病んだ日本への深い問いかけでもある。

お金ではなく人と人が、向きあって安心して暮らせる場を日本中の人が求めているというスタッフの人の言葉に、人間とは何か、何のために生きるのかという根本的な問いが重なる。

 

読者の声

●とても感動しました。精神の病をもつ人びとと長い間いろいろな場で共に過ごしてきましたが、いつも、これでいいのだろうかと自分を問いなおしていました。
べてるの家についての本は他にも読んでいましたが、本書で初めてべてるの人びとの回復のプロセスや、川村ドクターや向谷地ソーシャルワーカーの人生観がよくわかり、深く受けとることができました。
「にもかかわらず笑う」というユーモアが溢れる面白さに、こちらまで肩がほぐれる思いです。「降りていく生き方」は、古希を迎えた私にとっても大事な生き方です。

……精神福祉ボランティア(女性・70歳)


●大学生の息子が発病、入院し、一年になります。一時はどん底の精神状態になりながら、もがき苦しみましたが、この本に出会い、気持ちがどんなに救われ、また、心が昇華していったか。当事者たちのつながりがどんなに大切か、べてるの家があちこちに出現していけば……そんな社会をつくりたいです。

……女性・46歳


●「降りていく」ことがこれからの私たちに必要なのだとしたら、それはもうひとつの世界へ、社会へと「近づいていく」ことなのかもしれません。この本は「いま」必要な一冊でした。

……契約社員(女性)


●生きていく知恵と勇気をもらうことができてよかったです。 ……男性・28歳


●助けてほしいと思いました。単極性気分障害を患って、通院を始めて半年が過ぎましたが、ドクターや友だち、家族を含めてだれかに助けを求めることは「恥ずかしいこと」だと思って、自分に禁じていました。悲鳴が出かかるたびに、自分を抑えようと、自分を傷つけてきました。
本書を読んで、助けを求めることは悪いことでも何でもないと、やっとわかりました。ありがとうございます。

……大学院生(女性・23歳)

 

 

リンク

浦河べてるの家
「べてるの家」の公式サイトです。

「降りていく生き方」のほくほく感
ライターの建野友保さんが、サイト「onfield」で紹介してくださいました。

 

 

関連書

べてる関連

べてるの家の本 (べてるの家の本製作委員会編、べてるの家)
べてるの家が発行した最初の文集。べてる草創期の様子が語られています。

悩む力 (斉藤道雄著、みすず書房)


べてるの家の「非」援助論(浦河べてるの家著、医学書院)

とても普通の人たち (四宮鉄男著、北海道新聞社)

上記の本は太郎次郎社の本もふくめ、すべてべてるの家オンラインショッピングで購入できます。

 

 

 

 

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