Taroブック・Jiroブック
野生動物が見つめるゴミ列島
宮崎学のカメラ・アイ
Taroブック・Jiroブック
野生動物が見つめるゴミ列島
宮崎学のカメラ・アイ
発行日 |
1996年11月発行 |
判型 |
四六判・上製 |
頁数 |
192ページ |
価格 |
本体 1699円+税 |
ISBN |
ISBN978-4-8118-0454-5 |
Cコード |
C0036 |
繁栄と自然破壊、飽食とゴミ、生態系がくずれるなかで野生動物は変貌していく。中卒後、独学でカメラ術を究め、自然界の報道カメラマンとなった著者が、ゴミ列島日本の取材と自分史とを語り、衝撃の写真50葉を添える。
I……生きる戦略を自然界から学ぶ
勉強なんて大嫌い! 鳥たちに熱中した小学校時代
転機となった子リス“コロ”の死、鳥たちを空に放つ
カメラとの出会い、レンズは鷹の目の輝き
絶望の淵へ、河川工事で汚れた飲み水で腎臓病に
神秘の鳥・フクロウ、だれにも撮れない写真を撮ろう!
徹夜のフクロウ撮影で吐血二度、死んだつもりになって
知られざる自然界を探ろう、「フクロウ」から「けもの道」へ
絶望のときクマタカに魅せられて、ワシとタカ15年
II……「けもの道」から「鷲と鷹」へ
「けもの道」の発見、道は人間だけのものではない
発想を転換して、ロボットカメラで「けもの道」を撮る
日本のワシとタカ16種類、その全部を撮ろう
ハヤブサとの出会い、潮風にさらされた断崖絶壁の八時間
カンムリワシへの挑戦、沖縄・西表島へ
通説をくつがえす、カンムリワシの営巣を撮る
野生動物の一員として、自然界から学んだカメラ・アイ
III……フクロウとカラスの子育て
フクロウの性別分業、オスは狩り、メスは育児
卵に話しかける親鳥、こたえる卵の中のヒナ
不気味な絶叫、母フクロウの子別れ・子フクロウの親別れ
自然界のサイン、巣の外に産みおとされる卵
自然界のバランス、餌を中心につながりあう
カラスの人間ウオッチング、カラスの巣づくりから見えてくる人間社会
すばらしい学習能力、親子カラスのゴミあさり学習会
IV……野生動物から見た人間のゴミ事情
東京に暮らす、ドブネズミとクマネズミ
タヌキを襲った異変、ガンと白毛のタヌキ
人間がつくりだした“害獣”、サルとニホンカモシカ
巨大産業となったペットブーム、「動物愛護センター」って?
自然界の“お掃除屋さん”がいても、新種の“菌”が異常繁殖
拡散していくゴミゴミ事情、自然界の変動に適応する野鳥たち
生命の汚染、ハヤブサの子育て9年間の失敗
絶滅するウリミバエ、動物たちは黙って生きている
V……動物たちの死、その循環
動物にとって“死”とはなにか? 使命感につき動かされて
動物の死体はどうなる? 死体から自然界に出されるサイン
季節によって出番がくる、死体処理係の生きものたち
死体は大地に還り、新たな生命にひき継がれて
覚醒する瞬間、ひとは大地に生かされ、大地に還る
宮崎学(みやざきまなぶ)
1949年、長野県生まれ。写真家。
「自然界の報道写真家」として、自然と人間をテーマに社会的視点に立った作家活動を続けている。
◎受賞
1978年 第1回「絵本にっぽん大賞」
1982年 第32回日本写真協会「新人賞」
1990年 第9回「土門拳賞」
1995年 第45回日本写真協会「年度賞」
1996年 第26回「講談社出版文化賞」
現在、ニコンサロン運営委員、日本写真家協会(JPS)会員
◎代表的な写真集・著書
『ふくろう』……1977年(福音館書店)
『けもの道』……1979年(共立出版)
『鷲と鷹』……1981年(平凡社)
『けもの道の四季』……1984(平凡社)
『鷲鷹ひとり旅』……1987年(平凡社)
『フクロウ』……1989年(平凡社)
『冬のけもの道』……1990年(理論社)
『森の365日』……1992年(理論社)
『野生に生きる』……1992年(朝日新聞社)
『宮崎学の自然観覧車』……1994年(朝日新聞社)
『死』……1994年(平凡社)
『アニマル黙示録』……1995年(講談社)
『ハヤブサの都市』……1996年(フレーベル館)
30代・女性
中学で理科と家庭科を教えています。家庭科のゴミ問題で扱うつもりで買いましたが、食物連鎖など、生命を考えさせられる点が多くむしろ理科で扱っています。宮崎氏のような生き方を今の中学生にもっと示してやりたい。私のような者でなく彼のような人に教壇に立ってもらいたいと思いました。障害児教育に長く関わってきて、「物言わぬいのち」について何か、宮崎氏と共通なものを感じています。